
もう、サマルカンドの見所も、近郊への旅もしつくしたなあ、ブハラにもう一日いればよかったのかなあ、なんて考えつつ、ガイドめくってみた。ウルグベク天文台跡って多分本当に跡なんだろうなあ、けど、他にやることもないから散歩がてら行ってみようかな、という感じで歩き始める。てくてくてくてく。丘に登ってそれ以降、ずっと道は続く。しかもずっと墓場になっている。寂しいところにきちゃったなあ、と思いつつ歩く。長く歩いたけど全然気配なし。かといって戻るのもきつい。人通りもほとんどなくてなんだかいやだ。ここまで来たら、なんか意地でも見てやるみたいな気にもなってきた。などとつらつら考えながら、歩いていく。やっと、街っぽい所に着いた。更にまっすぐ行くと、ウルグベクの像が見えてきた。歩きつかれて像のところで一休み。
天文台跡は、確かに跡があるだけだった。しかし、ウルグベク資料館みたいなものがあり、英語でも説明がしてある。それを一生懸命読んでみるとウルグベクという人のことが更に分かってきた。ま、もとがまっさらからだから、ちょっとでも新しいことを知るとなんだかすごーく物知りになった気がする。それにしてもこんな昔に天体の研究をするためにこんなでかい天文台をつくったり、知識人をサマルカンドに集めたりロマンがあるよな。すごい権力者でもあったわけだし。
天文台からバスで街中に帰る。今度はサマルカンド博物館へ。もともと、旅行中に博物館や美術館にはあまり行かなかった。なんか、博物館は「作られたもの」って気がして、図書館で本を読むのと同じようなものって気がしていた。それよりもその地でしか分からないようなマーケットとか食堂とかに身を置くことに時間を使うほうがいい気がしていた。けれど、やっぱり、現地で行く博物館っていいかも。その国の歴史観や文化に対する姿勢が透けて見えるし、現地だから深まる知識もある。本当にいいスザニを見れば、ストレートに感銘を受けるし、自分の買ったものに対する目というか「基準」を作る助けになる。ウルグベクの話も、ここにいて、彼が作ったメドレセを訪れたりするから、身近に感じられる。というわけで、サマルカンド博物館もかなり楽しんだ。
朝は、サマルカンドやることないなあ、とちょっと旅程作りを後悔したけれど、この余分な1日があったからこそ行ってみたり楽しんだことが沢山あって、良かった良かったという気持ちになっていた。そんな気持ちになれた1日にとても満足していた。明日は朝一番の列車でタシケントに発つ。レギスタン広場も今晩が最後だ。ゆったりした充足した気分で夕焼けのレギスタン広場を眺める。
と、嬉しい気分で宿に帰ると、宿でトラブルが起こっていた。一段楽するまで部屋にも戻れず、一日の締めくくりはがっくりと疲れるものだった。あげたりさげたり、旅ってこんなもんか。それでももっと悪い状況もありえたわけで、これ位で済んでラッキーだったのかも。

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