五反田の少し雑多な通りを歩いた先、ふと目に入る「阿亀寿し(あかめずし)」は、昔ながらの町のお寿司屋さん。ずっと前からあるけれど、ふらりと入ったのは今回がはじめてだった。
昼の少し遅めの時間帯。客の姿はまばらで、洗い物の音が遠くから聞こえてくる。テレビではワイドショーが流れていて、音楽はなし。代わりに、そのテレビを肴に話す声と、寿司をつまむ静かな動きが、この空間のBGMになっている。
内装はまさに「地元の寿司屋」。カウンターに7〜8席、小上がりには2卓。干支の人形やまねき猫があちこちに並び、手作り感とともに、この店の年輪を物語っている。小上がりの壁には「無」の文字が大きく掲げられていて、大将の哲学のようなものを感じる。
そんな雰囲気の中、カウンター越しに大将が握る寿司が順々に運ばれてくる。まずはお茶とお味噌汁。喉が渇いていたので、これはとてもありがたい。
そして肝心のお寿司──これがびっくりするほどのコスパ。ひとつひとつがしっかり大きく、ぎゅっと力強く握られたシャリがずっしりとお腹を満たしてくれる。派手ではない。でも、誠実な美味しさがあって、肩の力を抜いて楽しめる。まさにランチにぴったりな街のお寿司屋さんだ。
ホールには女将さんらしき女性がいて、控えめながらもにこやかに店を支えている。カウンターの中では大将がガラスケース越しに淡々と寿司を握る姿があり、その背中を見ているだけでも、なんとなく安心できる。
目新しさはない。でも、この温度感が落ち着く。そんな一軒。
お店情報|阿亀寿し(あかめずし)
- 店名:阿亀寿し(あかめずし)
- 住所:東京都品川区東五反田周辺(五反田の雑多な一角)
- 音楽:なし(ワイドショーのテレビが常時ついている)
- インテリア:昔ながらの寿司屋。干支の人形やまねき猫が多数、小上がりの壁に「無」の文字
- 食器:よくある街のお寿司屋さんの器。実用的で馴染み深いもの
- ホール:女将さんらしき女性が控えめに明るく対応
- キッチン:大将が目の前で握る。ガラスケース越しで、手元はあまり見えないが、安定した雰囲気
気取らず、でも確かな満足をくれる。そういうお寿司屋さんが好きな方には、ぴったりの一軒です。次回はまた別のネタでの再訪も楽しみにしています。



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