佐賀で過ごす、静かな休日の余白
お堀のほとり、クラシックな滞在
2025年5月、連休を利用して佐賀を訪れた。
宿泊先は「ホテルニューオータニ佐賀」。空港からバスで市役所前まで移動し、そこから徒歩で約10分。少し歩いた先に、穏やかな堀のほとりにそのホテルは佇んでいた。

お堀沿いに広がる景色は落ち着きがあり、どこか気品を感じさせる。館内に足を踏み入れると、クラシックで落ち着いた空気に包まれた。
部屋は広々としており、アメニティも充実。最近よくある「必要なものはご自身で」といった合理主義ではなく、宿としての丁寧さが感じられたのが嬉しかった。
特に驚いたのは、テレビの大きさ。映像に吸い込まれるような迫力があり、少し見えすぎるような気もした。
窓からの景色は静かで美しく、旅の疲れをゆるやかにほどいてくれた。
ただ、スタッフの対応には少し気になる点もあり、紀尾井町や大阪のニューオータニと比べると、やや違いを感じた。
水の町、佐賀を歩く
佐賀市内は、水と歴史の町だった。
クリーク(用水路)が張り巡らされ、町のあちこちにカッパの像や物語が点在していた。水とともに生きてきた土地柄が、こうした形で残されているのは素敵だと思った。


古い建物や町並みは、ある一角に集まっていて、散歩にはちょうどよい距離。天気にも恵まれ、陽の光を浴びながらのんびりと歩くのが心地よかった。


クリークの水辺には、ところによっては石垣がむき出しになっている場所もあり、誤って落ちたら…と、ふと緊張が走る瞬間もあった。
それもまた、水の町ならではのリアリティなのかもしれない。

神社と、白鷺たちの静かな領域
町の中には歴史的な建築物や神社が点在している。
佐賀神社と松原神社の境内では、白鷺たちが大きな木々の下に群れを成しており、まるで土地の守り神のようだった。
そのたたずまいに少し圧倒されつつも、神社の木々の見事さにはしばし見入ってしまった。




有田焼のルーツと、静かな展示
佐賀は有田焼のルーツにも触れられる場所だった。
ホテルには陶器市を目当てに訪れていた人々の姿もあり、展示パネルにはその歴史が丁寧に紹介されていた。
確かに、有田焼にはどこか中国風の気配が漂い、和とも洋とも言い切れない独特の美しさがあると感じた。

Arita ware is traditional Japanese porcelain from Saga, renowned for its fine detail and colorful hand-painted designs.
旧銀行建築に、文化の薫り
夕方には旧銀行建築をめぐる。
モダンで美しいデザインの建物が並び、文化と歴史が共存する景観に心惹かれた。中に入ることは叶わなかったが、次回はぜひ立ち寄ってみたいと思った。


銅像たちが語る、佐賀の物語
駅前では、鍋島藩にまつわる歴史人物の銅像が並んでいた。
江崎グリコの江崎さん、森永製菓の森永さんといった実業家の像もあり、それぞれにエピソードが添えられていた。
形に残すことで歴史が日常に溶け込むというのは、とても素敵なことだと感じた。

贅沢な夕餉、佐賀牛との出会い
夕食には、佐賀牛をいただいた。
自分で焼くスタイルに最初は戸惑ったが、脂のきめ細かさとサシの美しさに納得。焼き加減を調整しながら味わうそのひとときは、贅沢な体験だった。



ホテルのレストランも気になったが、今回は見送ることに。次に訪れたときには、そちらも楽しんでみたいと思った。


小さなおみやげ、駅での発見
帰路、駅で見つけたオンラインのスタンプラリーアプリを試してみた。
博多では人が多く見つけられなかったが、佐賀駅でようやく1つゲット。旅の小さなおみやげになった。

佐賀という町の、静かな魅力
佐賀とはこれまであまり縁がなかったけれど、今回の滞在で印象ががらりと変わった。
唐津や有田などの観光地とはまた異なる魅力が、市内のあちこちに点在していた。
レストランやカフェが多く、人が集って楽しそうに会話をしている風景が印象的だった。
食の豊かさと、そこに人が集う文化のある町は、何度でも訪れたくなる。
次回はまた違う角度から、この町を味わってみたいと思った。
END
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