西武新宿線に揺られ、玩具と飛行機と新しき文化施設を訪ねし一日

所沢 日帰り旅行、B宝館、所沢航空記念公園、角川武蔵野ミュージアム、西武新宿線 特急、ブラマソーレ 新所沢、東急歌舞伎町タワー
2026年6月土曜日
1 今日のテーマ 西武新宿から所沢へ、名所よりも街の手触りを楽しむ小さな旅
この旅は、所沢の有名観光地を効率よく消化する旅というより、ひとつの街を歩き、食べ、眺め、バスに乗り、土地の空気を確かめる小さな散歩旅なり。
西武新宿駅から特急指定席で所沢へ向かい、新所沢のイタリア料理店「ブラマソーレ」で昼を取り、森永卓郎氏の蒐集品を展示するB宝館を訪ねる。その後、所沢航空記念公園を歩き、バスで角川武蔵野ミュージアムへ向かい、帰路には新宿歌舞伎町の東急歌舞伎町タワーにも立ち寄った。
所沢という名は、西武ライオンズの本拠地として耳に親しきものなれど、実際に歩けば、駅前の賑わい、住宅地の落ち着き、公園の広さ、文化施設の新しさが思いのほか層をなしている。派手な観光地ではない。されど、街を観察する旅にはよく似合う場所である。
2 基本情報 所沢日帰り旅の交通・施設・飲食店
正式な主な訪問地は、B宝館、所沢航空記念公園、角川武蔵野ミュージアム、イタリア料理ブラマソーレ、新宿プリンスホテル「ザ・ステーション カフェバー」、東急歌舞伎町タワー2階「新宿カブキhall〜歌舞伎横丁」である。
アクセスは、西武新宿駅から西武新宿線で所沢方面へ。今回は特急指定席を利用した。現地記録では、駅での特急券購入時、交通系ICカードまたは現金の利用となり、クレジットカードが使えず少々驚いた。ただし、西武鉄道のチケットレスサービス「Smooz」では、ネット購入時にクレジットカードやPayPayが利用可能とされている。次回は事前にSmoozで座席指定を済ませると、駅で慌てずに済むであろう。
新宿プリンスホテル「ザ・ステーション カフェバー」は、西武新宿駅直結のカジュアルなカフェバー。出発前に時間調整するには便利である。今回は朝の開店直後に近い時間帯で、客は少なく、ケーキが美しく並び、旅の始まりにほどよき静けさがあった。コーヒー代600円。
昼食のブラマソーレは、新所沢駅近くのイタリア料理店。公式情報ではランチ営業は11:30〜14:30、ラストオーダー13:30、定休日は火・水・木とされている。訪問前には最新営業日を要確認。今回はピザセット、白ワイン1杯、チョコプリンを注文。印象としては、味、量、雰囲気のバランスがよく、再訪候補に入る店であった。
B宝館は、埼玉県所沢市けやき台2-32-5にある、森永卓郎氏のB級コレクションを展示する私設博物館。公式情報では入館料は大人800円、学生600円、子供400円。開館日は限られるため、訪問前に公式サイトで必ず確認したい。現地記録では第一土曜日を狙って訪問した。
所沢航空発祥記念館は、2025年9月1日から2027年3月末予定まで大規模リニューアル工事に伴い長期休館中。ただし、所沢航空記念公園内の屋外展示機や広い園内は散策できる。記念館目的で行く場合は注意が必要である。
角川武蔵野ミュージアムは、埼玉県所沢市東所沢和田3-31-3にある文化複合施設。通常営業時間は10:00〜18:00、最終入館17:30、火曜休館。ただし企画展、イベント、営業カレンダーにより変更があるため、事前確認が望ましい。今回は館内展示には入らず、建物外観と周辺のイベント風景を中心に見物した。
東急歌舞伎町タワー2階の新宿カブキhall〜歌舞伎横丁は、全国各地の料理をテーマにしたフードホールで、公式情報では24時間営業に近い長時間営業施設である。ただし一部エリアは準備時間があるため、深夜早朝や特定店舗利用時は要確認。今回はお好み焼き、讃岐うどん、餃子を注文した。
3 旅の情景 玩具と飛行機と新しき文化の間を歩きし所沢の一日
西武新宿駅で特急指定席を買うところから、この日の旅は始まりたり。交通系ICカードか現金のみという現地の支払い感覚に、少しばかり時代が戻ったような驚きあり。スマートフォンひとつで何でも済むと思いがちな日々に、駅の券売機は時折、旅人に小さな現実を教えてくれる。
発車まで時間があったので、地下へ降り、新宿プリンスホテルのカフェでコーヒーを飲んだ。まだ朝の気配を残す店内は静かで、人も少なく、ガラスケースのケーキばかりが、宝石のように整然と並んでいた。コーヒーの湯気を眺めながら、これから向かう所沢という街について考える。名は知っている。けれど、まだ歩いたことはない。そういう街へ行く時、旅はいつも少しだけ新鮮になる。
特急の座席は快適であった。前方には赤ちゃん連れの家族が三人、楽しげに写真を撮っている。車内はぽつぽつと乗客がいる程度で、空気はのどかで、座席の幅にも心の余裕がある。ふと反対方向の電車を見ると、住宅地から新宿へ向かう人々で混み合っている。こちらは都心から郊外へ向かう身。流れに逆らうようでいて、その逆向きこそが小旅行の味わいなり。
所沢に着くと、予約の時間まで駅周辺を歩いた。駅前にはビルが多く、人の動きもあり、賑やかである。西武の本拠地という響きで知っていた所沢は、実際に立つと、生活の街であり、買い物の街であり、通勤と家族の街でもあった。地図を眺めれば、イタリアンの店も多く、食の選択肢も豊かである。
昼はブラマソーレへ。夫婦で営む店という話を聞いていたので、扉を開ける前から少し期待していた。頼んだのはピザセットと白ワイン一杯。焼き上がったピザは香ばしく、口に入れると生地の熱と具材の旨味が素直に届く。旅先で「これはよい店を見つけた」と思う瞬間ほど嬉しいものはない。デザートのチョコプリンも濃やかで、昼の締めにちょうどよかった。
そこからB宝館へ向かった。森永卓郎氏が集めたコレクションと聞き、面白そうだとは思っていたが、実際に見ると、その量にまず圧倒される。懐かしいおもちゃ、菓子のおまけ、古い携帯電話、キャラクターグッズ、今なら見過ごしてしまいそうな日用品。それらが一つ一つではなく、巨大な群れとなって並ぶ時、単なる懐古ではなく、時代の輪郭が立ち上がる。
正直に言えば、そこに並ぶ品々の多くは、高価な美術品ではない。けれど、価値とは値段だけで決まるものではないのであろう。捨てられがちなもの、忘れられがちなものを、執念に近い力で集め続けると、そこに昭和、平成、令和へと続く生活文化の地層が生まれる。B宝館は、まさにその地層を見せる場所であった。
見物客も少なくなかった。皆それぞれに、自分の記憶の断片を探しているように見えた。ああ、これ見たことがある。これ家にあった。そんな声が聞こえてきそうな空間である。森永卓郎氏は経済評論家としてテレビで見知っていたが、この館を歩くと、単に知識の人というより、好きなものを極端なところまで追いかけた人であったのだと改めて思う。
B宝館を出た後は、所沢航空記念公園へ向けて歩いた。防衛医科大学校の近くを通り、木々の気配が濃くなる。暑い日で、喉が乾き、思わず水を買って飲んだ。水の冷たさが喉を落ちていく時、歩く旅は身体の旅でもあるのだと知る。
所沢航空記念公園は広々としていた。記念館は工事中で、網が張られ、建物そのものは休館の姿であったが、公園の飛行機は見ることができた。子供連れの家族が芝生や木陰に集まり、思い思いに過ごしている。飛行機という近代の象徴と、休日の家族ののんびりした姿が同じ空の下にある。その取り合わせが、所沢らしい穏やかさに見えた。
さらにバス停へ向かう道すがら、税務署、ハローワーク、学校、市役所周辺の落ち着いた一帯を通った。観光名所だけをつないでいては見えない、行政と暮らしの表情である。旅先でバスに乗るのは楽しい。路線図を見て、停留所名を確かめ、地元の人の移動に少しだけ混ざる。電車よりも、街の肌理に近づく感じがある。
角川武蔵野ミュージアムへ着くと、まず建物の姿が目に入る。岩のようであり、要塞のようでもある。館内の本棚劇場は写真でよく見ていたが、この日は中に入ってまで見るほどの気持ちにはならず、外側を歩くことにした。ちょうど撮影会のイベントがあり、コスプレをした若い人たちが大きなカメラを構え、思い思いにポーズを取り、パフォーマンスをしていた。
その光景は、展示を見るよりもむしろ今の文化そのものを眺めるようで面白かった。建物、衣装、写真、SNS、若い熱気。文化施設とは、展示物だけでなく、そこに集まる人々によっても成立するのだろう。上の方へ上がると眺めがよく、遠くまで空が抜けて見えた。晴れた日なら富士山も見えるかもしれない。そう思わせるだけの広がりがあった。
帰りは再びバスで所沢駅へ戻り、特急で西武新宿へ。だが旅はそこで終わらず、少し食べて帰ろうと東急歌舞伎町タワーへ入った。上階からは新宿の街がよく見え、ビルの谷間に都市の熱が沈んでいる。ちょうど前の広場ではゲリラライブが行われており、急な告知にもかかわらず、多くの人が集まり、踊り、歌い、手を振っていた。
エスカレーターで上がりながら、その群衆を横から眺めるのは愉快であった。舞台の正面に立つのではなく、街の構造の中から見るライブ。そこには、新宿らしい偶然の娯楽があった。2階のフードホールは海外からの旅行者も多く、地域ごとの屋台が並ぶような造りである。たこ焼きを求めて入ったつもりが、広島・四国エリアで、お好み焼き、讃岐うどん、餃子を頼むことになった。
お好み焼きは思ったより時間がかかり、後から遅れてやってきた。けれど、目の前で作っている様子が見えたので、苦笑いしつつも、まあこういうものだと思えた。ゲリラライブを終えた人々が上がってきて、関連展示を見たり、コラボドリンクを飲んだりしている。都市の消費文化の現在形を眺めるようで、これはこれで面白い経験であった。
こうして新宿駅へ戻り、この日の小さな旅は終わった。所沢は、わざわざ大観光をする街というより、歩いて、食べて、寄り道して、公共交通を乗り継ぎながら、街そのものを見るのに向いた場所であった。B宝館の濃密さ、公園の広さ、角川武蔵野ミュージアム周辺の若い熱、新宿の夜の喧騒。それぞれは別の風景でありながら、一日でつながると、不思議にまとまりのある旅となった。
4 結び 所沢は、街歩き派に向く静かに充実した日帰り旅なり
今回の所沢旅で最も印象に残ったのは、B宝館である。高価なものではなくても、集め続け、並べ続けることで、物は時代を語り始める。そのことを実感できる場所であった。
よかった点は、西武新宿からのアクセスがよく、特急を使うと移動そのものが快適なこと。ブラマソーレの昼食が満足度高く、所沢航空記念公園は広く、角川武蔵野ミュージアム周辺は新しい文化施設らしい活気があること。街歩き、バス移動、食事、小規模博物館を組み合わせる旅としては、よくできた一日であった。
注意点としては、B宝館の開館日が限られること、所沢航空発祥記念館が長期休館中であること、角川武蔵野ミュージアムは展示を見るか外観と周辺散策に留めるかで満足度が分かれること。特急券は駅購入よりも、事前にSmoozを使う方が支払い面で安心であろう。
この旅は、絶景や名物だけを求める人よりも、知らない街を歩き、地元の店に入り、路線バスに乗り、偶然の出来事を楽しめる人に向く。持参物は、歩きやすい靴、モバイルバッテリー、飲み物、日傘または帽子、交通系ICカード、そして少しの現金である。
所沢は、名を知っているだけの街から、歩いたことのある街へと変わった。旅の楽しみは、遠くへ行くことだけにあるのではない。まだ知らぬ近場の街に一日を預けることもまた、暮らしを少し豊かにする小さな旅なのである。

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